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メッセンジャーが運ぶのは?命を守る「セーフ・セックス」

サンフランシスコとブルックリンのメッセンジャーたちはいつもと違うモノを運んでいた・・・それは、「必ず1時間以内に」という使命のもと、彼らが届けたのは、「セーフ・セックス」。
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はっ、としたその時にはすでに遅し。今日に限って“それ”を切らしちゃってる。せっかくのムードも台無し、近所のデリ(日本のコンビニのようなもの)に走るなんてのも、なんだか情けない。だからといって「もうじゃあなくていいか…」じゃあ、ジェントルマンの名が廃る。ムードとモラルの狭間で揺れる殿方を救ったのは、メッセンジャーたち。そう、彼らは「コンドーム」をデリバリーしている。

「バレンタインの前後2週間、無料でコンドームをデリバリーしまーす!」と、大胆なサービスを展開したのは、ロスに拠点を置くL.Condoms、コンドームカンパニーだ。コンドームの無料配布などは度々あるものの、「わざわざ、1時間以内に自宅まで届けてくれる」というのは初じゃないだろうか。
 
アメリカ全土でサービスを展開するが、コンドームのデリバリーが利用できるのはサンフランシスコとブルックリンだけ。ロス拠点で、なぜ、ブルックリン?理由は一つ、「メッセンジャーが多いから」。(ブルックリンは、アメリカのどのエリアよりも“愛の行為”が盛んに行われているから、と報じるメディアもあった…。)

バレンタイン・スペシャルの期間限定のサービスだったが、実は普段から「コンドーム・デリバリー」は行われている。“必ず1時間以内に配達”は一緒だが、配達料金5ドルをチャージ。

「うちのコンドームを使ってくれれば生命を一つ救うことができるので、“愛の行為”が多いほど願ったり、です」。電話越しにも笑顔が見えそうなトーンで話すのは、Talia Frenkel(タリア・フレンケル)、L.Condomsのファウンダーだ。
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「WHOによると、世界的に、性病が生殖可能年齢に達した女性にとってNo.1の死因だって、知ってた?」
 もともとは、売れっ子のフォトジャーナリストだったタリア。国連を相手に世界を飛び回っていたほどで、2008年にアフリカを訪れたのもその仕事だった。

「国際連合からの要請で、HIV/AIDSに苦しむ女性を撮るべくアフリカへと向かったわ」。その時に目の当たりにしたのは、多くの女性がコンドームのないセックスによるHIV、性病感染で命を失っているという現実。

「一人がL.のコンドームを一つ購入すると、L.のコンドーム一つがアフリカに送られます。これは、20人に一人がL.のプロダクトを使ってくれれば、アフリカにおいてHIVや性病の感染/死亡率の最も高い3ヶ国に、コンドームを普及させることができる。つまり、セーフ・セックスを行えないがゆえに死に至る人を助けることができる」

セーフ・セックスが必要なのは、先進国の女性だけじゃない。世界中のすべての女性だ、とタリアたちは考える。それを実現させるには、自分たちの会社のプロダクトを使ってもらうのが必須。だから、「多くのコンドームを使ってもらう」ために、ユニークなサービスを展開させてきた。

特筆すべきは、先程から語っているデリバリーともう一つ、「コンドーム自動お届けサービス」。これは、アメリカ全土で可能なのだが、簡単にいえば雑誌購読のようなもの。「L.コンドーム定期購入」を申し込めば、毎月必ず自動でコンドームが届くというサービス。買い忘れとはおさらばだ。
リピートはよいプロダクトがあってこそ。高いデザイン性に高品質(グリセリン・防腐剤不使用、パッケージはすべて再生紙)を徹底した。

それから、「コンドームって、いくつになっても買いにくいものですよね。若い頃もそうだし、“いい年”になってくると『この人たち、まだセックスするんだ』なんて、レジの若い子に思われているんじゃないかって邪推してしまうし。もちろんセックスは素晴らしい行為ですけど『これからセックスします』という意思表示、やはり少し気恥ずかしいものですよね」。大きな社会貢献を生むにも、まずは第一消費者たちの「あったらいいな」を叶えることからです、とタリア。
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「いいプロダクトといいサービスがあれば、たくさん使ってもらえる。愛の行為が多ければ多いほど、寄付ができる。愛の行為がなくなることはないから、とってもサステナブルでしょ?」

バレンタインズデイは、思ったとおりいつもの何倍も注文が入った。L.CondomsのLは、LoveとLife。1 Love saves 1 Life、愛が命を救う、ということか。
 

元フォトジャーナリストによる最高品質のコンドームとジェントルマンたちの思いやり、そしてそれを支えるメッセンジャーによって、サンフランシスコ、ブルックリン、そしてアフリカに、いつもより多くの「セーフ・セックス」が届いたバレンタインズデイだった。
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